千代田区神田の会計士・税理士の馬場です。
私たちCGSおだき税理士法人では、お客様の月次決算をとても大事にしています。それは、適切な月次決算書(試算表)こそが経営者の経営判断にとって最も大事な資料だと考えているからです。
ですが!
やはり、試算表そのものは無味乾燥な数字の羅列でしかありません。
桁数の多い数字が上から下までビッシリ並んでいるだけで、何かの暗号の様な感じにすら思えますね。
これを眺めているだけで経営の状況がわかる方は、相当財務に精通した方だと思います。
一般的には数字の羅列である試算表に経営指標という視点を加えて、初めて経営者にとって本当の意味での意思決定資料となってくるのです。
まずは適切な月次試算表を作り上げることが重要となりますが、今日は、経営指標についてお話したいと思います。
適切な月次試算表については、後日お話します。
さて、本当に重要な経営指標とは、いったいどんなものなのでしょうか?
経営指標と言いましても、たくさんの指標があります。
例えば、
・総資本利益率(ROA)
・自己資本利益率(ROE)
・総資本回転率
・流動比率
・当座比率
・固定比率
・固定長期適合比率
・自己資本比率
・限界利益率
・売上高利益率
・労働分配率
・労働生産性
・損益分岐点売上高
・在庫回転率
・売上債権回転率
・インタレスト・カバレッジレシオ
・キャッシュ・コンバージョン・サイクル
などなど、たくさんの経営指標があります。実はこれら全て、一般的には重要指標と呼ばれている指標です。
しかし、日々経営をしていく中で、これだけたくさんの指標を確認することは無理ですよね。
覚えるだけでも大変です・・・
例えば、総資本利益率(ROA)という指標は、当期純利益÷総資産×100%という式で求められ、会社が持っている資産に対して何%の利益を上げたかという、経営の効率を示す指標です。
総資本利益率(ROA)= 当期純利益 ÷ 総資産 × 100%
つまり、総資産5億円の会社が、1000万円の税引後利益を上げたならば、総資本利益率(ROA)は2%となります。
もし会社の総資産を事業でなく、不動産や金融資産など他の資産に投資できるのであれば、ひょっとしたら2%以上の利益を得ることができるかもしれません。
世の中の投資家は、そのような判断でどこに投資するかを決めます。
既に事業を始めている中小企業の経営者が、事業をやめて他に投資することなどそうそうできることではありませんので、M&Aをする場合や外部投資家から資金調達をする場合でもなければ、日々の経営でこのような指標を深追いしてもあまり意味が無いのです。
また、自己資本比率という指標は、自己資本(資本金と利益剰余金)÷総資本×100%という式で求められます。これは総資本のうちどれだけ自分の資本が占めているかという、財務の安全性や健全性を示す指標です。
お金を貸す側からしたら、借金の割合が多い人よりは、手持ち資金の割合が多い人の方が貸し易いですよね。そういう意味で良く使われる指標です。誰でも自己資本比率は高めたいと思っていますが、自己資本は増やすには、増資するか、利益を出し続けて行くしかありません。一朝一夕で利益を貯めることはできませんので、一般的には徐々にしか自己資本比率を上げることはできませから、この比率も日々の経営で深追いしてもあまり意味が無いのです。
(もちろん、資金政策の観点からしたら、目標値を設定して目指し続ける必要性があります。)
多くの中小企業の日々の関心事は、
○利益は十分に出ているか?
○売上や利益が減りそうな兆候は無いか?
○過剰人員となっていないか?
○資金繰りは大丈夫か?
などではないかと思います。
そのため、中小企業にとって大事な指標は、
○しっかりと利益が出ているか?
○利益が減少する兆候はなさそうか?
○人員と仕事量のバランスは適正か?
○資金繰りが悪くなりそうな兆候は無いか?
といったような、利益や資金繰りや商いの状況を日々把握するための指標です。
私が月次で経営者の方々とお話するときには、いつも下記の4つの経営指標を重視しています。
○限界利益率
○損益分岐点売上高
○労働分配率
○キャッシュ・コンバージョン・サイクル
この4つの指標、そんなに難しくない指標ですが、実はヒト・モノ・カネといった経営資源の動きが凝縮された指標なのです。
今後、管理会計の話を展開していくにあたり、まずはこれら4つの指標について次回以降に書いていきたいと思います!